共感覚(シナスタジア)とは?
1度に複数の感覚が同時に働く現象
共感覚は、英語名でシナスタジアといって、感覚が共鳴することを指します。
わかりやすく言うと、1度に複数の感覚が同時に働く現象です。
人には、温度・音・色・味など無数の感覚が備わっていますが、痛みは痛みだけ、熱さは厚さだけというように、それぞれの感覚が独立して機能しています。
しかし、共感覚(シナスタジア)をもつ人は、痛みに形を感じたり、音に色を感じたりと、1つの知覚に対して2つ以上の感覚が働くのです。
生まれたときは誰もが共感覚をもっている
文字に色を感じたり、痛みに形を感じる共感覚(シナスタジア)は、普通の人では考えられない感覚でしょう。
しかし、共感覚があまり知られていないだけで、実際は100人に1人が共感覚をもっていると言われています。
むしろ、生まれたときは誰もが共感覚をもっており、成長して五感や知覚が鋭くなるとともに、共感覚が薄れているだけと考えられているのです。
共感覚(シナスタジア)は、特別な感覚ではありますが、訓練次第で誰でも身につけられると言われています。
共感覚(シナスタジア)の特徴・種類
共感覚(シナスタジア)の意味をわかりやすく解説しましたが、少しは理解することができたのではないでしょうか?
今度は、より共感覚の理解を深めるために、具体的な種類や特徴について見てみましょう。
共感覚(シナスタジア)の種類・特徴①:文字に色を感じる
普通は、文字は文字でしかなく、文字の意味を読み解くことで、形・色・情景をイメージします。
しかし、共感覚には文字から色を感じる種類があり、あ=赤色・い=黄色のように、文字を色で認識しているそうです。
文字を、言葉と色の両方で認識ている分、記憶力が高いと言われています。
共感覚(シナスタジア)の種類・特徴②:音に色を感じる(色聴)
共感覚の種類には、音に色を感じる色聴と呼ばれるものがあります。
普通は、音は音でしかありませんが、色聴をもつ方は、音を聞いて色・形・味・動きを感じているそうです。
日常の生活音からも色や形を感じ取るため、集中力が長くもたない特徴があります。
共感覚(シナスタジア)の種類・特徴③:文字の人格化
共感覚には、文字の人格化という種類があります。
普通は、文字は文字でしかなく、複数の文字を繋げることで、意味に変わるだけですよね。
しかし、文字の人格化の共感覚をもつ人は、1文字ごとに色や音があったり、性格や特性を感じ取っています。
いくつかある共感覚のなかでも、文字の人格化をもつ人は珍しいと言われています。
共感覚(シナスタジア)の種類・特徴④:痛みに形や色を感じる
とても珍しい共感覚なのですが、痛みに色・形・音・声・歌などを感じ取る共感覚をもつ人がいます。
もちろん人には痛感があるため、痛みを感じ取っているのですが、痛感とは異なる五感・知覚の働きが強く、痛みから色や音を感じてしまうようです。
共感覚(シナスタジア)の種類・特徴⑤:言葉に味を感じる
言葉とは、読んだり聞いたりするものですが、あ=酸っぱいというように、味を感じる人がいます。
代表的な共感覚とされており、味で言葉の意味を理解する人がいるそうです。
共感覚を持つのはどんな人?具体的な例
普通の感覚とは違う共感覚をもつ人は、どのような人が多いのか気になりますよね。
今度は、具体的な例をもとに、共感覚をもつ人について見てみましょう。
例①:モーツアルトの光共感覚
世界的に有名な作曲家・モーツアルトは、共感覚をもつ人物でも有名です。
モーツアルトは、いくつかある共感覚のなかで、光共感覚をもっていたと伝えられています。
光共感覚をわかりやすく言えば、目で見たものに音を聞く能力であり、モーツアルトは光の分子レベルで音を聞いていたとそうです。
実際にモーツアルトが作曲した音楽には、倍音成分と呼ばれる人の耳では聞くことができない周波数が組み込まれているため、人の脳に響きやすいと言われています。
例②:ダニエル・ポール・タメットの数字列形
映画・ブレインマンのモデルにもなったダニエル・ポール・タメットさんは、暗記・暗算・自然言語の学習に関する高い能力をもった人物です。
ダニエルさんの共感覚は、数字列形と言われています。
数字列形をわかりやすく例えれば、数字が立体的な形で見える感覚です。
また、ダニエルさんの場合は、数字に色・手触りを感じる・数式の答えが景色として見える・数字から感情を読み取れるといった珍しい共感覚と言われています。
1つの数字に複数の情報が紐づいていることから、数字に関する記憶力は並外れているそうです。
共感覚の身に付け方
具体的な例をもとに、共感覚をもつ人の特徴について紹介しました。
モーツアルトやダニエルさんをはじめ、共感覚をもつ人には天才と呼ばれる方が多いですが、訓練次第で誰でも共感覚を身につけることができるのです。
「自分も共感覚をもちたい」と考えている方のために、共感覚の身に付け方を紹介します。
身に付け方①:感じたことを別の感覚に置き換える
共感覚は、感じたことを別の感覚に置き換えることで身に付けられます。
例えば、ケーキを食べて「甘くて美味しい」と感じるのではなく、美しい草原のなかにいる情景をイメージしたり、リズムを奏でたりと、味覚ではない五感・知覚を働かせるのです。
慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、味わった感覚を置き換える訓練をすれば、眠っていた共感覚を呼び覚ますことができるでしょう。
身に付け方②:クラシック音楽を聴く
クラシック音楽には、人の耳では聴き取れない倍音成分と呼ばれる周波数が含まれているそうです。
この倍音成分は、脳機能の向上・潜在意識の活性効果が高く、五感・知覚を研ぎ澄ます効果があります。
やり方は、クラシック音楽の曲から連想できる情景をイメージして、色・形・味・匂い・濃度・触感といった五感や知覚を付け足していくだけです。
とくに、上記の例題で紹介したモーツアルトの楽曲は、倍音成分が多く含まれているため、共感覚の活性化におすすめされています。
たくさんのクラシック音楽を聴いて、共感覚を身につけましょう。
さいごに
共感覚の意味や種類、共感覚をもつ人の例えを紹介しました。
普通の感覚をもつ人にとって、共感覚は不思議な能力に思えるでしょう。
ただ、例題で紹介した人物のように、共感覚をもつ人には天才と呼ばれる方ばかりです。
「自分も共感覚をもちたい」と思われる人は、訓練をして共感覚を身に付けてみてください。