『産後うつ』とは?
産後うつとは、言葉のどおり出産後に表れるうつ状態のことです。
産後のママの体は、妊娠したときから出産までめまぐるしく変化していきます。お腹が大きくなるような目に見える変化はもちろん、ホルモンバランスや内臓をはじめとする、目に見えない部分の変化もかなりのもの。
出産を無事に終えると、そこで一段落するわけではなく、休む間もなく今度は出産前の状態に戻ろうと体の内外が働きはじめるのです。
ホルモンバランスが急激に変化していくため、心身ともにママは不安定に。
産後数日から、落ち込みやすくなったり涙もろくなったりする【マタニティブルー症候群】の症状が見られるママは非常に多くいます。
このマタニティブルー症候群は、数週間で自然と収まるのですが、育児のストレスや不安が大きいと、次第に産後うつの症状が加わってしまうのです。その割合は産後の女性の5〜10%程度。
つまり、10人に1人程度の割合で産後うつを経験したことがあるママがいるということになります。10人に1人と考えると、とても身近な問題であると感じませんか?
産後うつになる6つの原因
では、実際にはどんな原因で産後うつになりやすいのかご紹介します。今回は産後うつになりやすい主な原因6つをピックアップします。
原因① 育児への孤独感による不安
出産を終えると、同時に子育てがスタートします。特に産後最初の1ヶ月は基本的に外出できない状態なので、家の中がママの世界に。
旦那さんの帰りが遅かったり、近くに育児に協力してくれる両親や義両親などがいないと、育児について話ができる相手がおらず孤立してしまいます。
孤立が続くと、自分の育児は本当に正しいのか不安感が強くなり産後うつの原因となるのです。
原因② 育児疲れ
産後は寝る間のほとんどない育児が続きます。また、自分の思った通りに物事が進まなかったり、ママ自身の体力の回復度合いによりかなり疲労します。
睡眠不足と疲労が続くのは、心身ともにかなりきつい状態です。産後うつになりやすい状態であると認識することが必要です。
原因③ 完璧主義
思い通りに進まない育児や家事にイライラ…
理想とする産後の生活とのギャップにもやもや…
完璧主義であることは悪くないですが、産後においては悪い影響をもたらす場合があります。
原因④ 責任感が強い
責任感が強いママの性格も産後うつの原因になりえます。
「自分がしっかりすれば…」
「こんな簡単なこと人に頼めないから自分でやってしまおう…」
「いいママになるためにあれもこれもやらなくちゃ…」
責任感の強さは、時に自分自身を追いつめてしまいます。
原因⑤ 乱れたホルモンバランスが戻らない
妊娠から出産に至るまで、ジェットコースターのように変化するホルモンバランス。
産後には時間をかけて妊娠前と同じように戻るのが一般的ですが、睡眠不足や疲労、ストレスなどから自律神経が乱れホルモンバランスに影響を与えます。
原因⑥ もともとの性格の影響
もともとがポジティブの人とネガティブな人では、やはり産後うつのなりやすさに多少の違いが出てきます。
出産・育児は自分だけではどうにもならないことがたくさんあります。心配症な人や自己肯定感が低い人、妊娠前からうつ傾向がある人は、あらかじめ病院で相談するのもおすすめです。
産後うつにならないようにする方法
産後うつの主な原因6つをご紹介しましたが、実際に産後うつを回避するためにはどうしたらいいのでしょうか?
睡眠時間の確保
少しでも睡眠時間を確保することは、産後のママにとって非常に大切な産後うつの対策になります。
赤ちゃんと一緒のタイミングでお昼寝する、夜間の授乳はパパや他の家族に任せるなど、自分が眠れるタイミングを作っていきましょう。
どうしても難しい場合は、近隣に夜間に赤ちゃんを預けられるサービスや、短時間の一時保育などが利用できるはずですので、うまく利用してみてはいかがでしょうか。
自分なりの息抜き方法を持つ
ずっと赤ちゃんと2人きりだと、次第に息が詰まってしまうような感覚になる場合があります。
テレビでも、ゲームでもSNSでも何でもいいので、あなたが好きな方法でリラックスできる方法を見つけておきましょう。
人と話す
人と話すのは、産後うつの原因となる不安解消にとても効果があります。
夫や両親といった家族はもちろん、ママ友や昔からの友人、育児サービスのスタッフなど、いろいろな視点から話ができる人がいると産後うつを防ぐのに非常に効果的です。
実際に話さなくても、TwitterなどSNSを通じてのトークも効果的です。
1人の時間を持つ
産後から育児をがんばっているママは、ときどきご主人に協力してもらって1人でお出かけしてみたり、家で1人趣味に没頭することもいいリフレッシュになります。
妊娠前と同じように1人で自由に時間を使う開放的な感覚は、産後うつの原因を一気に吹き飛ばしてくれます。
人にうまく頼る
「育児も家事もしっかりやらなきゃ…」と考えているママは、今はその考えを捨てましょう。
出産を終えたママの体は、全治3ヶ月程度の交通事故にあったレベルのダメージを負っているといいます。そんな状態で育児も家事も完璧にできると思いますか?本当に事故にあった人に出会ったら、安静にしてなさいといいますよね?
産後のママは無理をしないのが1番。こんなときはできる人にできることをお願いして、ママは自分の回復に集中するのが赤ちゃんのためでもあります。
家事ができなければ、家政婦サービスを利用すればいいんです。育児が難しいときは、家族や育児関連スタッフに甘えればいいんです。料理が作れなければ出前を頼んだっていいし、洗濯物が数日たまったって産後うつの辛さと比べたら些細な問題なんです。
周囲からお手伝いの提案をされたときも、こんなときくらい素直に受け入れましょう。
産後うつになった体験談
30代 主婦
旦那は仕事でいつも夜遅い帰宅だし、実家は遠くて、いわゆるワンオペ育児だった私。育児にわりと理想像があって、それとはかけ離れた毎日にイライラ。ママ友もまだいなくて、次第に旦那に話しかけられても急に泣き出したりすごい八つ当たりするようになっちゃって、ある時自分やばいかも?って感じてネットで調べたら、まさに産後うつの症状とぴったり。
それから旦那が休みを取ってくれたり、実家から両親が来てくれたりして、次第に自分の育児に対する重荷が外れていったような感じに。私は病院に行かなくても何とかなったからよかったけど、産後うつの心配がある人は病院行った方がいいです。だってうつはちゃんとした病気だから。ほっとくと大変なことになると思いますよ。
20代 自営業
私は2人目の出産のときに産後うつになりました。1人目のときは全然だったから、まさか2人目でなるとは思いませんでした(汗)。
でも産後うつってどこで相談したらいいか分からなくて、とりあえず区の育児支援センターに行ってみることに。同じような症状に悩んでいるママに会えたり、産後うつから抜け出した先輩ママの話が聞けたりして、すごく励みになりました。すぐLINE交換して、悩み相談してます。
30代 美容師
まさか自分がなるとは思いませんでしたが、産後うつになり通院してました。原因は...まあいろいろあったんだとは思いますが、正直いまいち良く分かりません。
自分は適当な人間だし、里帰り出産だったから実家の協力もあったし、わりといい環境にいれたはずなんですけど。通院があったので、予定よりも長く実家にとどまることに。その間何回か主人が会いにきてくれて嬉しかったです。
30代 OL
あんたは頭固いから産後うつに注意しなよって家族に言われていたんですが、自分の中で育児はこうあるべきみたいな理想像があって、それに沿わないと自分はダメなヤツだ...って落ち込んだりしてました。
自分より数ヶ月先に出産した友達と子連れでランチすることになり、当然のように育児の話に。私は完璧主義な方ですが、友達は真逆。こんな適当でもいいんだっていうくらい適当でびっくりしましたが…友達も友達の子供も幸せオーラがばんばん出てました。それにひきかえ私はぎすぎすしたオーラ。
その友達に会うことで、これまでの完璧主義をちょっと緩めて、手を抜くことを覚えました。そしたら、すごい楽なんです、育児も家事も。これまで、自分で自分を縛り付けてたんだなって思いました。友達のおかげで産後うつを回避して、今は産後うつ?何それ?って状態です。
20代 主婦
産後数か月、あまり外に出れなくてまともな話し相手がいないのがすごいストレスでした。そんな時に自分を救ってくれたのがTwitter。
タグ付ければ同じような状況の人が反応してくれるし、夜中の授乳中でも意外と反応があって、自分は外の世界とつながってるっていう希望がありました。
子連れでいろいろ外出ができるようになってからはつぶやきが減ったけど、こういうはけ口がなかったらうつになっちゃう理由が分かる気がします。
さいごに
今回は、産後うつの原因6つをご紹介しました。しかし、実際の産後うつにはさまざまな原因があります。
自分は産後うつかもしれない…と感じたら、なるべく早く病院を受診したり、育児支援センターに相談しましょう。
育児はママの健康が1番大切です。ママが辛い顔をしていたら、育児にも影響が出てしまいますね。赤ちゃんと同じくらい、自分自身も大切にしてあなたらしい育児をしてくださいね。